【初めての方向け】仏壇の選び方をわかりやすく解説|種類やサイズ、購入後にすべきことまで

「仏壇の購入や買い替えを検討しているが、どのような仏壇を選べば良いのかわからない」「現代風の間取りでも仏壇は置けるのか」といった悩みをお持ちでしょうか。

仏壇は一生に何度もない大きな買い物です。失敗できないプレッシャーもあるでしょう。ただ、宗派ごとの違いや種類、品質など、仏壇選びのポイントがわからず、何から考えれば良いかわからないという人もたくさんいます。

この記事では、仏壇の役割や種類をはじめ、置く場所に合わせた仏壇の選び方、仏壇を購入できる場所、購入後にすべきことなど、仏壇選びに必要な知識を網羅して解説します。
はじめて仏壇を選ぶ人に向けて、わかりやすくまとめました。最後まで読み、ご家庭に合った仏壇を選ぶヒントにしてください。

目次

仏壇の選び方① 仏壇の基本知識

仏壇店に行く前に、最低限知っておきたい知識を解説します。ある程度の知識を把握しておくと、ご自分に合う仏壇が探しやすくなります。解説するのは次の5つのポイントです。

  • 仏壇の役割
  • 仏壇を用意するタイミング
  • 仏壇の種類
  • 仏壇を置く場所
  • 宗派による仏壇の違い

それでは一つずつ見ていきましょう。

仏壇の役割

仏壇は、本尊を祀り先祖を供養するのが役割です。「家の中のお寺」といわれることもあります。仏壇の内部は寺院の内陣(本殿)を模し、さまざまな彫刻で飾られています。

近年は「本尊を祀る」という本来の意味が薄れ、先祖と対話し、感謝する場所として仏壇をとらえる人も増えています。

仏壇のはじまりは7世紀にさかのぼるほど、古いものです。天武14年(685年)3月、天武天皇が「家ごとに仏舎をつくり、仏像・経巻を置いて礼拝供養せよ」と勅令を出しました(『日本書記』)。勅命を受けた貴族たちが持仏堂をつくったのが、仏壇の原型だといわれています。

仏壇を用意するタイミング

家族に不幸があって仏壇を新しく用意する場合は、四十九日までに購入します。四十九日には法要と納骨式を行うため、仏壇のほか、お墓や本位牌も必要です。

不幸以外の理由で仏壇を購入する場合は、「いつ買うべき」という決まりはありません。昔は実家を出て新居を構えると同時に用意するのが一般的でしたが、現在は家の新築や建て替え、お彼岸、お盆などに購入する人が多くなっています。

仏壇の種類

仏壇の種類は、「金仏壇」「唐木仏壇」「新仏壇」の3つに大別できます。

金仏壇(塗り仏壇)

金仏壇(塗り仏壇)とは、漆塗りに金箔を施して華やかに仕上げた仏壇です。使う木材は杉や松、檜(ヒノキ)などで、漆塗りの回数や金箔の純度・厚み、加工の違いなどで価格が変わります。
歴史も古く、広い地域で使われています。

唐木仏壇

唐木仏壇は、木材の色や木目を活かして作られています。黒檀や紫檀、欅(ケヤキ)など、重く耐久性のある木材を使うのが特徴です。木材の質や彫刻の精巧さなどによって、価格が変わります。
明治時代以降作られるようになった仏壇です。

新仏壇

新仏壇は現代仏壇、家具調仏壇ともいわれます。洋風の間取りやインテリアにも馴染むよう作られているのが特徴です。仏間がなくても置けるよう、コンパクトかつ収納性を追求した仏壇もあります。
家具を選ぶ感覚で仏壇を購入できるため、若い世帯からも人気を集めています。

仏壇の最適な配置場所

仏壇を置く場所に決まりはありません。スペースに余裕があるなら、伝統的な床置きタイプがおすすめです。新仏段を地袋や棚の上に置いても良いでしょう。間取りやインテリア、ライフスタイルを考慮し、最適な場所を選んでください。

ただし以下に該当する場所は仏壇を傷めるおそれがあります。

  • 直射日光が当たる場所
  • 湿気が多い場所
  • エアコンなどの風が直接あたる場所
  • 埃が多い場所

仏壇の置き方や最適なサイズについては、のちほど詳しく解説します。あわせてご覧ください。

宗派による仏壇の違い

仏壇そのものは、どの宗派でも使えます。ただし宗派によって本尊と両脇仏、仏具の飾り方が異なるため、注意しましょう。

本尊とは仏壇の中央にある須弥壇に祀る仏様のことです。本尊は仏像か掛け軸で祀ります。また本尊の側に控える仏を両脇仏といいます。

本尊と両脇仏の組み合わせや仏具の飾り方は、寺院や地域によって決まりがあります。詳しくは菩提寺か仏壇専門店に相談しましょう。

仏壇の選び方② 仏壇の安置場所と種類

仏壇を選ぶ際にもっとも気を付けないといけないのは、「どこに置くか」です。置く場所によって最適な仏壇のサイズや種類も異なるため、十分検討しましょう。

仏壇を置く場所とサイズ・種類、また置き方の注意点を解説します。

仏間がある場合は床置き型仏壇がおすすめ

仏間がある場合は、サイズの合う床置き型仏壇が良いでしょう。床置き型仏壇は「台つき型」「重ね型」とも呼ばれ、下部に収納スペースがついています。

床置き型仏壇の高さは、一般的に120~180cmです。仏間の間口は一間(約180cm)か半間(約90cm)で作られるため、幅によって一間仏壇と半間仏壇とがあります。

仏間がなくても、押し入れや床の間をリフォームすれば床置き型仏壇を安置できます。また床に直接置いても構いません。

地袋の上に安置するなら地袋型仏壇がおすすめ

地袋とは、床面に接して設けられた高さの低い袋戸棚です。床の間の脇に設けられる場合もあります。地袋の上に仏壇を置く場合は、地袋型仏壇がおすすめです。

地袋型仏壇は、高さが100~120cm程度と床置き型仏壇より低く、地袋の上に納められます。一般的には半間(幅90cm)で作られていますが、基本的な構造は床置き型と同様です。

タンスや飾り棚の上なら上置き型仏壇がおすすめ

タンスや飾り棚、カップボードの上などに置く場合は、上置き型仏壇を選びましょう。

上置き型仏壇の高さは30~90cmとコンパクトにつくられています。半間押入れの上段にも安置できます。仏具をすべて仏壇の中に入れようとすると収まりきらない場合も多いため、適宜周囲に配置します。

和室がない住宅やリビングにも置ける仏壇を探している人におすすめのタイプです。

仏壇の向き

仏教の教えからすると、仏壇を置く際の向きは気にしなくて構いません。仏壇の向きには所説ありますが、直射日光が当たらず、湿気がこもらない場所であればどこでも大丈夫です。

どうしても気になる場合は、北向きだけは避けるようにしましょう。

本尊の高さ

仏壇を安置した際、本尊の高さが礼拝する人より低くならないよう気を付けましょう。とくに上置き型仏壇を立って拝む場合は要注意です。本尊が少なくとも人間の胸より高くなるよう安置します。

神棚との位置関係

仏壇を神棚と同じ部屋に安置する場合、お互いが向かい合わせにならないように置くのがしきたりです。どちらかに礼拝すると、他方に背を向けることになるから、という理由があります。

また仏壇と神棚が垂直に並ぶ場合は、片方を少しでもずらして真上にならないように気を配りましょう。

仏壇の選び方③ 仏壇を購入できる場所3選とメリット・デメリット

仏壇は、主に次の場所で購入できます。

  • 仏壇専門店
  • ホームセンター
  • 通信販売

「プロに相談しながら選べる」「価格重視で比較できる」など、それぞれに特徴があります。メリット・デメリットとあわせて解説します。

仏壇専門店

仏壇専門店では、あらゆる宗派の仏壇・仏具が揃います。実際に仏壇を見て、プロに相談しながら最適な1つを選べる点がメリットです。また地域ならではのしきたりやマナーにも精通しており、誰に見せても恥ずかしくない、失敗のない仏壇選びが可能です。

寺院とのつながりを持つ仏壇店も多く、菩提寺を持たない世帯や初めて仏壇を買う人の相談にも丁寧に乗ってくれます。

仏壇専門店は、百貨店やショッピングモール内に出店している場合もあります。

ホームセンター

仏壇はホームセンターでも購入できます。コンパクトな新仏壇が手頃な価格で販売されているケースが多く、購入後すぐに持ち帰れるなどの利便性があります。

ただし取り扱う商品数が少ない点がデメリットです。本格的な金仏壇や唐木仏壇は、ほぼ取り扱われていません。また仏壇の専門家が常駐しているわけではないので、宗派や間取りなどについて相談しながら選ぶこともできません。

通信販売

近年は通信販売で仏壇を購入する人も増えています。新仏壇を中心に、さまざまなサイズの仏壇が販売されており、価格も比較的安い点が魅力です。

ただし通信販売も専門家に相談しながらの購入はできません。またアフターフォローが受けられないため、お手入れや修理が必要になると別途、仏壇専門店に相談する必要があります。

現物を見て選ぶこともできないため、品質に不安が残る点も押さえておきましょう。

コラム:良い仏壇店の見分け方
良い仏壇店を見分けるポイントを紹介します。

◎ 仏壇公正取引協議会のステッカーが貼ってある
「仏壇公正取引協議会」とは、仏壇の品質や原産国表示や価格表示にルールを設けている団体です。安心して仏壇選びができる店の目印です。

◎ 店内が清潔で清掃が行き届いている
仏壇は埃がたまりやすい場所です。店内が清潔で清掃が徹底していることは、仏壇を扱うお店として最低限クリアしたいポイントです。

◎ スタッフが高い専門知識を持っている
良い仏壇選びには、宗派や伝統などに関する知識が必要です。専門知識が豊富なスタッフが揃っている点も、良い仏壇店には欠かせません。

◎ アフターサービスが充実している
購入後のアフターサービスも比較しましょう。お手入れや修理など、メンテナンスが必要になったときに

仏壇の選び方④ 購入後にすべきこと

仏壇を選んだら、次に仏具を揃え、「開眼法要」を行わなければなりません。仏壇がご自宅に安置されるまでに必要な準備を解説します。

仏具をそろえる

仏具は宗派によって必要な道具が異なります。飾り方にも決まりがあるため、詳しくは寺院や仏壇専門店に相談しましょう。

どの宗派でも必要な仏具は、次の3つです。

  • 香炉
  • 花立
  • 火立(燭台)

それぞれ1つずつそろえたセットを「三具足」と呼びます。中央に香炉、向かって左に火立、左に花立をおきます。

香炉は線香をたく道具、花立は生花や常花を飾る道具、火立はロウソクを立てる道具です。日常の礼拝では三具足がそろっていれば十分ですが、法要など正式な儀式の際は花立と火立を各1対にして五具足とします。

開眼法要を行う

仏壇を購入したら、仏壇に祀る本尊に対して「開眼法要」を行います。開眼法要の位置づけは宗派によって異なりますが、家庭に本尊を迎え、仏と共に暮らす日々が始まるおめでたい法要ととらえるのが一般的です。

家族が亡くなり、はじめて仏壇を購入した場合は、四十九日法要とあわせて行います。寺院と日程を調整し、準備しましょう。開眼法要の謝礼は、年忌法要と同額程度が目安です。

メンテナンスする

仏壇は本尊と先祖を祀る場所です。常にきれいにしておきましょう。

◎日常のお手入れ
本尊に合掌し、礼拝してから掃除を始めます。
柔らかな布や羽ぼうきを用意し、やさしく埃を払いましょう。仏具はから拭きし、飯器などは水洗いしたあと水分を拭き取ります。金具部分は金属磨き材を使って、光沢を出します。
金箔や漆塗りの部分は、強くこすると傷がつきます。やさしく空拭きしましょう。

◎ 修理
仏壇の修理は「お洗濯」といいます。金箔がはがれた、漆塗りが割れた、金具が壊れたといった場合は、仏壇専門店にお洗濯を依頼します。仏壇専門店は、仏壇を解体して破損箇所を修理し、元通りに組み立てて修理します。
お洗濯のあいだは、本尊や位牌は寺院に預かってもらうと良いでしょう。小さな厨子を用意し、仏壇があった場所に安置しておいても構いません。

まとめ

仏壇は本尊や先祖を身近に感じ、仏法が自然と溶け込んだ生活を送るために欠かせないものです。現代でもいただき物はまず仏壇に供える、朝晩のお参りを欠かさないといった習慣を持つ家庭も少なくありません。

時代とともに仏壇のあり方も変化していますが、日本人の生き方には仏のおしえがしみ込んでいます。仏とともに生活する実感を大切にするために、ライフスタイルにあった仏壇を選びましょう。

仏壇は、宗派ごとの違いや地域のしきたりを押さえて選ぶことが大切です。山口県のならわしに合った仏壇の選び方は、私たち佛光堂にお任せください。専門的な知識をわかりやすくお伝えしながら、ご家庭に合った仏壇選びのお手伝いをいたします。


参考文献
『お坊さんがイチから教える!葬儀・法要・お墓・仏壇のすべて』/主婦の友社
『最新カラー版 お墓と仏壇 選び方・建て方・祀り方』/主婦の友社

目次